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一般社団法人日本焙煎技術普及協会(通称:ARMS アームズ)

【焙煎と抽出を調理の観点からアプローチする】

アームズメソッド® アームズ珈琲® 一番出しドリップ® のキホン

■アームズメソッド®(ARMSメソッド)とは

Association of Roasting Method Spreading(一般社団法人日本焙煎技術普及協会)の略称から命名。英語で「腕自慢」と言う意味も含めています。アームズメソッド®は抽出理論と焙煎理論の両軸から成り立っています。 まず適切な抽出技術を身に着ける事で焙煎の成果をブレずに判断出来る様になります。

■コーヒー生豆の生育と精製と輸送から考える

赤道から南北25度のコーヒーベルト帯で生育するアカネ科のフルーツ「コーヒーノキ」の果実は完熟すると糖度20~30度を超える事もあります。糖度が高い実の種の周りはネバネバしているので、 長時間水に浸けて軽く発酵させて果肉除去を容易にしたり果実を乾燥させてから果肉を捥いだりする事でパーチメントの状態にして保管されます。 糖度が高い(=菌の餌が多い)為、精製時に発酵工程を経て香りの前駆体が約千種生成されます。

香りの前駆体は熱が加わり一定の温度に達すると香り成分に昇華します。水洗式で長時間現地の水に浸かったパーチメントの中の種にもその水はかなり浸みている事は容易に想像出来ます。 パーチメント除去されて水分率が9.5~12.5%程度になった生豆は基本的に麻袋に入れられ常温コンテナで1ヶ月近い船旅をして日本に輸入されます。

輸送中の温度変化でカビやカビの生成するカビ毒(真菌性カビ毒のアフラトキシンやオクラトキシンA)に侵されるのを抑える為にポストハーベスト燻蒸されますが、その防虫剤・防カビ剤は日本の畑に撒く農薬基準より500倍緩いと言われています。 世界中でコーヒー栽培時に使われている可能性のある農薬の種類は700種類以上と言われています。そして農薬は水溶性のものにシフトしています。 一方で日本での植物検疫で検査される農薬は常時120種類+ローテーションで20~30種類のみで、抜き打ち検査です。有機JAS認証生豆に関しては、輸入時のポストハーベスト燻蒸で有機JAS要件が外れる為に基本燻蒸せずに輸入されています。

■料理の素材として考えた時に、まず「洗う」が大切です。「洗う」事で汚れを落とし、カビとカビ毒の判別を容易にし、お湯含ませる事で調理を容易にします。

■珈琲の焙煎とは?

現地由来の水を乾煎りし、香りの前駆体を香り成分に昇華させ、焦がさずに豆のポテンシャルを引き出す事が大切です。生豆の8%がショ糖であるので、深煎りはショ糖のカラメル化で甘みを引き出してあげる事が大切です。 乾煎り出来た状態から焦げる手前までを焙煎のストライクゾーンと呼んでいます。

■浅煎りと深煎り

冷めてもギューっと酸が立たない度合いの中浅煎り~表面を焦がさない中深煎りを基本とします。

■豆の酸化?

酸化とは、本来抗酸化作用を持っているカフェオイルが時間の経過と共に酸敗する事です。ヴァージンオイルは7~8週間は酸敗しません。 冷めてギューっとなるのはph値が酸性に寄るのが原因です。クロロゲン酸は205度位、キナ酸は165度位で中和します。クロロゲン酸が残っていると冷めると白濁して来ます。 一般的に「酸化」と呼ばれている現象は、「残っている水に起因する劣化」「不純物がヴァージンオイルに混じる事に起因する劣化」が主要因となっています。

■発酵と焙煎と熟成

乾煎りされた珈琲豆は焙煎直後からどんどん香りが上がり続け、味も出て来ます。味と香りが整のう目安は、焙煎直後にチラッとオイルが滲む程度の豆で1週間、しっかりオイルが滲んだもので10~14日間を要します。 熟成後、常温密封保存で概ね1か月がおいしく飲める目安としてます。

●つまり珈琲は「生鮮食品」では無く「乾煎りされた加工品」であり「焦がさず(炭化させず)仕上げる」のが基本です。

■アームズメソッド®抽出方法・一番出しドリップ®

グラニュー糖位の粗さの挽き目の30gの粉に対して90度前後のお湯で100cc(120cc)の一番出汁を抽出。 珈琲の成分は「水溶性」「油溶性」「難溶性」の3種類の成分があり、焙煎で膨らんだ細胞壁の中にお湯が入る事でガスを押し出すので泡が出て来ます。 「難溶性」の成分は抽出開始から3分近く経つと溶けて来ますので、抽出時間の目安は3分以内です。 投湯開始から20~30秒でポタポタ、ポタポタを25ccキープ、80ccまではペーパーの縁から指一本分くらい残した状態で円を描き続け、80ccから縁まで注ぐ様に心掛けます。 一番出汁はポン酢位の濃度なので好みで2.5倍~3倍程度のお湯で割ります。 原液のままで常温で2~3日、冷蔵密封で1週間位が保存の目安です。

●適切に「乾煎り」された珈琲の一番出汁は、冷めてもph値が酸性に傾かない(=クロロゲン酸が中和する温度まで熱が入っている)上に難溶性の雑味成分も入っていない為「冷めてより美味しく」なり時間の経過と共に「まろやか」になります。

■アームズ珈琲®とは

アームズメソッド®を学ばれた方で豆の販売や飲料提供される場合には、定期的に焙煎豆の提出をしてもらっています。 安定して焙煎がストライクゾーンに入っている場合、アームズ珈琲®の呼称を使って頂く事である一定の品質レベルである事を担保しています。 アームズ珈琲®が求めるのは、丁寧な下拵えと適切な焙煎によって「安心安全」と言う大きな大前提をクリアした上での「美味しさ」です。

【珈琲は生鮮食品ですか?】

焙烙等で短時間焙煎したコーヒーを「コーヒーは生鮮食品だから煎りたて・挽きたて・淹れたて」でなければならないと伝えられている事が多いですね。 「生鮮食品」の定義は、「水分がたくさん残っている食品」と言う事です。だから劣化を抑える為に冷蔵や冷凍が必須です。 コーヒーは赤道から南北25度のいわゆるコーヒーベルト帯で生育するアカネ科のフルーツ「コーヒーノキ」の種です。 糖度が20〜30度を超える事もあります。糖度が高いので種の周りはベタベタしてます。 現地の水に70時間程度付けてふやかして(軽発酵させて)種をとりだしたり(水洗式)、果肉を1ヶ月近くかけて乾燥させてからパルパーと言う除肉機で種を取り出したりしています。

●いずれの場合も、水分値が9.5〜12%程度になるまで乾燥させてますが、その水分の中に現地の水は含まれてませんか?

●現地から常温コンテナで輸送される時にカビとカビ毒の発生を抑える為にポストハーベスト燻蒸(防カビ剤・防虫剤)されていますが、日本の畑に撒ける基準の500倍緩い基準です。 それだけのもので燻蒸されても多少のカビとカビ毒は発生します。 (JAS有機認証生豆に関してはポストハーベスト免除されて輸入されますが、それ故にカビとカビ毒に侵されるリスクは半端ないです)

●輸送中や保管中に埃塗れになりませんか?

以上のリスクを限りなくゼロに近づけるべく低減する為に、アームズメソッド®では50度の流水で生豆を洗い水蒸気の力で蒸してから焙煎します。

■洗わない生豆を焙烙で短時間焙煎した場合、表面が焼けて固まる→豆の中の水分の逃げ場が無くなり中に残る→焙煎後常温で置いておくと数日で劣化する/焙煎豆を挽いて抽出する時に残った水分もカップに落ちる為に利尿作用が強くなる/焙煎未了に起因して20〜30分経つと飲めない味になる、、、 コーヒーは生鮮食品だから焙煎したら直ぐに挽いて、淹れて、淹れたら直ぐに飲まなければ駄目ですよ、、、となります。

■珈琲に多様性はあって良いですが、現地の水は摂取したく無いですし、カビ・カビ毒や農薬等のケミカルなものは極力排除したいのがアームズの基本スタンスです。 少なくともアームズ珈琲を学ばれた方で、対極にある生鮮食品としてのコーヒー焙煎を違和感なく受け入れる方はいらっしゃらないと思います。 同様に、アームズメソッド®を知ってしまった飲食店ー特に食の意識が高いお店ーで対極のコーヒーを受け入れる事は無いと思います。

■「アームズ珈琲®」は今までの一般的なコーヒーとは全く異なる飲み物です。安心安全の為の丁寧な下拵えと適切な調理が大前提で、その上で美味しさを求めた珈琲です。 冷めて美味しいのは当たり前。深煎りはカラメル化により引き出した甘さを感じ、浅煎りはフルーツ由来の酸を甘みに転化したフルーツ感を感じ、どちらも冷めてもギューっと来ない後味クリアな飲み物です。

■飲食店で〆の飲み物としてアームズ珈琲®をご提供される場合、原価は上がります。しかし、お金では買えない信頼感を得られるのは間違いないです。 「まだ既存の珈琲を選ばれますか?それともアームズ珈琲®を選ばれますか?」

★重要★ 手焙煎を否定している訳ではありません。むしろアームズメソッド®手焙煎は焙煎機で仕上げるより綺麗で日持ちして美味しくなります。 調理に置いて大切なのは、適切な下拵えと適切な火入れです。